この記事の続き。
岩手の恋人
恋人の中でも、大阪の恋人などと同じ長登屋系の流れにある。チャグチャグ馬コと宮沢賢治の銀河鉄道とおぼしき機関車が描かれている。この2つの振り幅が大きくて、なかなかの映え感がある。
もちろんこれも。このデザインフォーマットに共通する、ハートマークをどうあしらうかについてもこの恋人は抜かりない。
南部鉄瓶まで!いろいろと絵になる県だ。
販売者は長登屋ではなく、第一物産。
といっても長登屋系デザインの王道を進む恋人ゆえ、中身は他の恋人と寸分違わぬ見た目。
なんだか微妙に上下のクッキーの重なりがずれているようだが、もちろんこれがたまたまそうだっただけ。
他の恋人同様のホワイトチョコが挟まっており、もちろん同じ味。しかし、パッケージにわんこそばみたいな食べ物の絵が描いてあるのに、中身はそれと全然関係ないというのは、詐欺とまでは言わないがちょっと納得いかない気持ちがある。日本全国の同じ味の恋人を食べ続けているからそう思ってしまうのだろうか?
さくらんぼの恋人
山形にいた恋人。
桜桃の欧風焼き菓子とあって、ラングドシャクッキーではないもよう。Wonderful cherry loverって書かれているが、「さくらんぼの恋人」の英訳なのだろうか? ワンダフルと自称しており、日本語の元にはあった慎ましさが消えていて興味深い。
販売しているのは庄和堂。ここによると庄和堂はタカチホのグループ会社であることがわかる。この会社については、以前何度か触れたことがある。
タカチホ(グループ会社を含めると)は長登屋に次ぐ、全国で恋人系お菓子の代表格といえる存在で、すでにいくつか紹介済みだ。黒部の恋人達、信州の恋人、すすきの 黒い愛人、白い森樹…
包み紙をはがした状態。真っ白な箱。
中の状態。思ったよりぎっしり詰まっている印象を受ける。
「欧風焼き菓子」って言われても全然想像できなかったが、ウエハースだったのか。
さくらんぼ風味があるのはわかるのだが、さほど印象には残らない微妙さがある。
青森の恋人
妻の友人が青森に行くというので買ってきてもらった恋人。なかなか立ち寄ることができないところにいる恋人に会うのはなかなか難しい。そこで用事があるわけではなく、あえて観光しようと思わないところで、かつ東京からは交通の便が悪い。これまで紹介した恋人たちは、他に名物がないから仕方なく売っている、言わば土産物界の恥部のようなものだと思われているようで、あまり積極的に通販で県外の人に売ろうとはしていない。となるとそこに出かける誰かに購入をお願いするしかなくなる。
青森の恋人に話を戻す。ねぶたと十和田湖、使われているイラストが単色ではなくカラーであるところに、他の恋人とは違うやる気を感じる。ねぶたのイラストの意外と細かい描き込みにも、それを感じることができる。
りんごの使い方も面白い。岩手の恋人では「I ❤︎ IWATE」のハート部分にわんこそばがあしらわれている。青森も当然りんごをハートの代わりにするだろうなと思って見ると、意外な位置に置いてある。この位置にイラストを置いているのは全国各地の長登屋系恋人のなかでは青森の恋人だけだ(現在確認できているものに限るが)。
あくまで主役はりんごであり、青森としては中心に置かねば気が済まないのであろう。
裏面は長登屋系恋人共通で全く同じ。
販売者は青森銘販。ってこの会社、先ほど紹介した会社、タカチホの営業拠点紹介ページに掲載されていた。デザインは長登屋の流れを汲んでいるのに、販売者はタカチホの系列…。オーソドックスに見えて、実はハイブリッドな恋人だ。
ただ中を開けてしまえば、長登屋系恋人の定番から1mmもずれることがないデザイン。
このへんも見た目は同じなのだが、青森の恋人だけに、チョコはりんご味(パッケージ表面に書いてある「Ringo Langue de chat」の強引な感じ!)。見た目、匂いは他の恋人とほぼ変わらない。後味かすかに感じるぐらいか? でもさっぱりした味わいで、味のセレクトもちゃんと地元感あって好感が持てた。
石巻の恋人
地元・石巻市出身の石ノ森章太郎のサイボーグ009をモチーフにした恋人…と書けたらいいのだが、そうではない。石巻には石ノ森の原画を展示し、漫画関連の展覧会を開催している石ノ森萬画館(中央に描かれている建物)があるだけで、石ノ森の出身は隣の登米市になる。この萬画館の近くにあった映画館に、石ノ森が学生時代よく通っていたということで、全然関係ないわけではないようだが、石ノ森が石巻市の町おこしに名前を貸したようなところなのだろうか。なので石巻の街中には石ノ森関連のものがごろごろしている。
ちなみに石ノ森の本当の出身地である登米市は大友克洋の出身地でもある。
表はサイボーグ009のイラストが強く目を引くものの、基本は長登屋系フォーマットに準じていた。ところが裏にひっくり返すと、一転して黒地になる。上下の箱で色が違うとちぐはぐな印象を受けるが、石ノ森のイラストのあしらいの大きさを思うと、少し特別感を演出したかったのかもしれない。
販売しているのは街づくりまんぼうというところだった。謎な社名だが、
石ノ森萬画館を運営しているところなのか。この恋人はまず石ノ森章太郎ありきで作られた恋人なのだということがわかる。どういうお菓子でもいいはずなのに、あえて恋人の形にしたのか…。
他の恋人と違って、個包装にも「石巻の恋人」と書かれているだけでなく、お願いメッセージカードが入っていた。
本品は常に原材料を厳選の上丹誠込めて吟味調整致しております。
これは味に期待できる…!
他の恋人と比べて表面の色が白いような気がする。これはプレミアムな味っぽい?
食べたけどあれ?うーん…他の恋人と全然変わらないような…。チョコの味も普通のホワイトチョコだし、肩すかしを食らった感じだ。