コト消費という言葉をよく聞くようになった。商品としてのモノを買うだけの「モノ消費」から、その商品を買って得られる体験や思い出のような出来事すなわちコトを得るのを重視する「コト消費」へとトレンドがシフトしているのだという。いまや恋人たちを売りつけるためにも、そこにまつわる物語を付加せねばならないようになってきている。
信州の恋人物語
一斉に名乗りを上げた信州にいる恋人が、本命の座をめぐって熾烈な争いを繰り広げていたことについては1つ前の記事で明らかにしたが、 terrortwilight.hatenablog.com
それで終わりではなかった。恋人たちについては、さらなる物語が語られる必要があったらしい。これは定番のラングドシャクッキーではなく、生クリームキャラメルになっている。箱も六角形のコンパクトサイズ。
販売者は長登屋。なので表のパッケージは大阪の恋人を源流とする長登屋系恋人のデザインを踏襲している。
開けると一口大のキャラメルが詰まっている。
なんかこう、花畑牧場みたいな手作り感は皆無で、安価に大量生産しときました!味はなるべく変えてないんでよろしく!みたいなイメージ。いや、おいしいのだけれど。生キャラメルは、普通のキャラメルより銀歯が取れにくそうなのがいいよね…。
山形の恋物語
これもデザインは長登屋系に連なるものだが、これは恋人ではなく恋物語。信州では恋「人」物語なので微妙に違っている。厳密に言うと恋人系お菓子ではないのだが…。
でも販売者は長登屋なので、仲間はずれにはしないでおく。
中身は信州の恋人物語と全く同じ。
なので味も信州と同じく、まあまあいける。
ちなみに同じ形の箱で中身が生キャラメルの恋人はほかにもいる。
これらはそれぞれ同名のラングドシャクッキーの恋人がいるのに、生キャラメルのアナザーバージョンが別に存在するというもの。本命ではなくキープの位置にある恋人といえる。
他社の登録商標の絡みがあるかないか、他にいい商品企画がないのでこれも恋人って名前つけちゃおう、とかもろもろの大人の事情で、恋人はキープの位置に収まったり、人であることをやめて物語を紡がなくてはならなかったりするらしい。