全国の恋人たち(36) まだまだまだ沖縄にいた恋人(正確には恋人じゃなく恋人未満の存在)

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沖縄は3回にわたって書いたので、正直打ち止めかと思ったが、

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このタイミングで新たな恋人が誕生していた。正確には恋人ではなく、恋人未満の存在といえるが…。

黒い濃い人

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恋人ではなく濃い人。もはや恋人未満の存在のため、強いてカテゴリーを作るならば黒い他人に分類されるべきものだが、こちらで取り上げておく。
この黒い濃い人、もちろん本家の白い恋人が元ネタなのは間違いないのだが、これまでも本家だけでなくかなり近い存在は何人かいた。

黒い恋人

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すすきの 黒い愛人

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白塗りの濃い人

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言葉の順列組み合わせで、まだ存在してないのはどれかな…?と行き着いた先にこの濃い人は生まれる。ちなみに白い濃い人のほうは京都の出身で、舞妓さんをイメージしたものらしい。

この恋人、いや濃い人は発売前からテレビで制作過程が紹介されている。日本テレビの「月曜から夜ふかし」で、この番組にたまに出演している素人の平良さんが、こういうのを作りたいと言い出し、300万円かけて制作して小売店に売り込むところを追いかけていたのだ *1 。この番組は、自らの信念に基づいてまっすぐに生きるがゆえに、世間一般の常識から微妙にはみ出してしまっている素人をしばしば登場させているが(しばしば対象への愛と理解とリスペクトを欠いてるのが気になってしかたない)、この平良さんもそのように扱われている。一応居酒屋を何軒か経営しているようなちゃんとした社会人なのだが、天然キャラとしてフィーチャーされ、嫁ニー(よめにー)と呼ばれている。それは酔ってインタビューに答えたときに、嫁のことが好きすぎて嫁をオカズにオナニーしてると話したことに由来している。

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パッケージの落書きに近いイラストは、こういう感じにしたいという嫁ニーのアイディアノートに描かれていたものを忠実に再現したものだ。なので、デザインについては本家のパロディで行こうという発想は企画の始まりからまったく存在していない(ただ、先の「月曜から夜ふかし」で嫁ニーは「(白い恋人の)パクりではありません。リスペクトしてます(笑)」と語っていた)。パッケージのイラスト中央の顔は、沖縄にいる黒い濃い人はこんな感じでしょ?ということらしい。

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これはシーサーかな?

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これはたぶん沖縄の島の形なのだろう。

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紅芋とハブ。名物を出し惜しみしない姿勢は、例えば沖縄の恋人と比較するとわかる。

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沖縄の恋人は、大阪の恋人などと同じように長登屋系という全国共通仕様で作られている。黒い濃い人に所狭しと書き込まれたイラストや文字を見ていると、他にも沖縄にはいろんなものがあるだろう!という地元からの魂の叫びが聞こえてくる。

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 側面にも気を抜かず、とりあえず何かを入れておこうというサービス精神が素晴らしい。これはもちろん、黒くて濃い人に出会いましたか?という、これを手にした観光客へのまっすぐなメッセージだ。

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他の側面も歌って盛り上げている。真摯な姿勢がうかがえる。

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こっちの人形の写真をメインにすえると、上品な印象も出てくるのだが、それを排してこれでいくと決断したのはよかった。 紅芋味であることも、ここでしっかりアピール。

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販売者はLokahi。お菓子の卸売をしているところで、テレビでも紹介されていたが、嫁ニーの初期衝動を受け止めて、流通できる商品に落とし込んだ会社だ。ただ、製造所を見ると…あれ?北海道の会社だ。沖縄の紅芋を使い北海道で製造したものを沖縄の土産として売るという、列島を縦断するダイナミック感に驚かされる。

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箱を開けるとメッセージがあった。ちゃんと嫁ニーの写真と、彼の直筆と思われる文章がある。この人は自分が天然キャラであることを自覚しているので、「黒い濃人」「黒い濃い人」の表記揺れだったり(試作品は濃人だった)、「購入」の漢字が書けなかったり、誤字があったりしてもチェックしたり修正したりはしない。

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さらに開くと、ここにもまたメッセージが。QRコードもあって、リンク先は「黒い濃い人おじさん【公式】」のInstagramだった。パッケージ表面のこの顔が「黒い濃い人おじさん」のようで、このキャラが沖縄の情報を発信するという設定のようだが、それほど投稿も活発ではない。

 
 
 
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個包装は一転してピンクになっててちょっとポップな味わい。

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中のクッキーが黒い。この黒さはすすきの 黒い愛人と同じ…!

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紅芋が入っているとのことで、チョコがほんのりピンク色であることを確認できる。さっきの個包装の色は紅芋をイメージしたものなのか。肝心の味だが、うまい。人工甘味料的な甘さはなく、紅芋の香りもいい。濃さをアピールしているわりにはくどくなくて、しゃれで作っているように見えて正統派の味わいだ。

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全部食べると、底にはまた絵が描いてある。

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なんかこう、お面みたいにして遊べるよということらしい。

 




*1:OAを観ててとても気になったのが、嫁ニーが試作品を手に小売店に営業をかけるものの、何軒回ってもあっさりと断られ、現実の厳しさに涙するところ。マツコ・デラックスの全国ネットの人気番組に出てて知名度のある人間が作ってる商品で、いまもテレビ局が取材してるんですってことをどこの店でも全くアピールしない不自然さで、おいしい映像を撮るためのヤラセが過ぎるw ここの記事を読むと当初は本当にアピールしてなかった可能性もあるが、まず小さな店じゃなくて盛った企画書持ってドン・キホーテとかに行けばいい話なんだよな…