全国の恋人たち(6) 大阪にまだいた恋人たち
大阪のくくりには入れなかったものを補足。恋人の聖地というのがいつの間にか全国にたくさん存在しているのは最近知ったが(2016年1月15日現在138あった)、それでもなお、大阪こそが恋人の聖地であると言い切れる。
大阪環状線の恋人
ブームが一巡した後で生まれた恋人がいた。パッケージは長登屋系なのだが、これのミソはここにある。
JR西日本の許諾を取っているということだ。実際、JR西日本のプレスリリースもある。
JRの許諾を取っただけで、もちろん石屋製菓の許諾を取っているという記述はない。
やはり長登屋。
味はホワイトチョコなので、他の長登屋系と変わらず。ただ、この大阪環状線の恋人が好評だったのか、JR西日本は再び悪のりに手を貸す。
黄色い恋人
それがこれだ。ドクターイエローなので、もはや郷土色は失せている。
許諾済。
長登屋なのでほぼフォーマット通りだが、黄色い恋人だから、中のチョコはレモンチョコ味。ほんのりした酸味がいい。ホワイトチョコばかりだと食傷気味なので…。
ちなみに販売元は長登屋なのだが、
上の方に「企画元 株式会社 立誠社」とある。この立誠社(https://www.risseisha.co.jp)、大阪に本社のある会社で、ここがやっているオンラインショップは
鉄道グッズを売っている。長登屋、立誠社、JR西日本と出会うべくして出会った3社のコラボだ。相変わらず石屋製菓の名はないが。ドクターイエローはJR東海のイメージあったけど、西日本所属のものらしい。
JR西日本博多総合車両所に所属し、T5編成と呼ばれる。2005年3月上旬にそれぞれのメーカーから陸上および海上輸送により博多総合車両所に運ばれた。
(中略)
総合車両所所属でありながら普段は東京に常駐しているため、保守を容易にするため台車もT4編成と同一にしてある。また、定期検査はJR東海に委託し、交番検査が東京交番検査車両所、台車検査・全般検査が浜松工場の施行となっている
うまい棒の恋人
さらにいろいろコラボを進めるとこういう謎の代物が生まれる。なんというかすごくハイコンテクストというか、いろいろな要素が詰まりすぎていてわかりづらい?
白い恋人
↓
面白い恋人
↓
大阪の恋人をはじめとする全国各地の恋人
↓
ラングドシャクッキーじゃなくて、うまい棒で作るのはどうか?
↓
「うまい棒の恋人」にすると地名と結びつかないからお土産にはしにくいな…
↓
関西圏で売ってるものをひとつにまとめて関西限定にすればええんや!
のような流れが容易に想像できる。
側面には「©やおきん」の文字がある。うまい棒の本家やおきんには許諾を得ているようだ。そこはちゃんとしてるんだ?だったら最初から「©石屋製菓」入れとけよ!と思うがいまさらそれはできないのだろうか?
中身はラングドシャクッキーではなく、完全なうまい棒。それぞれ
大阪の恋人に、
(神戸)元町の恋人、
奈良の恋人、
和歌山の恋人、
(恋人ではないが)琵琶湖の初恋の6種類が入っていた。それぞれすでにラングドシャクッキータイプで販売されていたものだ。中身を取り出して、あれ京都が多いな…と思っていたら
どうやらランダムに入っているとのこと(全部で18本)。カウントしてみると
- 和歌山の恋人 2
- 大阪の恋人 3
- 元町の恋人 4
- 奈良の恋人 3
- 琵琶湖の初恋 2
- 京都の恋人 4
という結果となった。ランダムとはいえ、関西圏における観光地のパワーバランスを完璧に保っている。いつもこの割合で入っており、滋賀や和歌山への遠慮からあえてランダムですよと言い訳をしているように邪推してしまう。
味はシュガーラスク味。うまい棒はしょっぱいイメージのほうが強いのだが、恋人の名をつけるなら、甘くないと許さん!ということなのか?大阪にあわせてタコ焼き味とかという手もあるわけで。もはやどこにどうこだわりがあるのかが、外部からはうかがい知ることができない…。で、この味は、やおきんが出しているうまい棒シュガーラスク味と同じものと思われる。甘さが絶妙で、そこはかとない穀物の塩気を感じる。やおきんグッジョブ。
うまい棒のほかの味と違って、大きな穴が空いてない。これはやおきんのシュガーラスク味と同じ仕様だ。
うまい棒シュガーラスク味に穴が開いていない意外な理由│カロリーはどれくらい? | うのたろう小説ブログくろおと
全国の恋人たち(5) 関西にいる恋人たち
面白い恋人が起こした恋人ブームは、大阪だけでなく関西全体で盛り上がっていた。
たぶん大阪勢とともに初期メンだったと思われる京都の恋人。ホワイトチョコではなく、抹茶チョコを使うことで大阪の恋人や通天閣の恋人から離れようとしている。京都だから抹茶、とかベタだが、全国いっぱい作るのなら最低このぐらい差をつけてよとは思う。といっても、全国の恋人たちを追い求めているこちらが単純に味に飽きているだけなのだが。
販売者もちゃんと長登屋。正統派、ということばが浮かんできたが、あくまでも長登屋系で正統なだけで、本家は北海道にいるのをちょいちょい忘れてしまう。
味は違うのだが、個包装は長登屋系フォーマットを外していない。
抹茶チョコで緑色。食べると…抹茶テイストがあんまり感じられないんだよな…。チョコが挟んであるのは分かるのだけれど。
奈良の恋人
奈良→飛鳥時代→冠位十二階→紫みたいな連想が浮かんできていい感じだ。
長登屋フォーマットに忠実だが、販売者は長登屋でなく、有限会社シーズマインドになっている。
クッキーのなかの黒い点はチョコレート。ラングドシャクッキーの間に入っているのがホワイトチョコではなく普通のチョコなので、隙間から見えている。
隙間は黒い。ホワイトチョコよりも若干ビターな味わいだ。
白浜の恋人
と、ここまで完全な長登屋フォーマットだが、
販売者は紀伊観光物産になっている。長登屋との関係は不明。
チョコはちょっと少なめだ。すべてがそうではなく、たまたまこれが少ないだけ。
南紀白浜パンダの恋人
白浜の恋人は別に存在するが、パンダの恋人は別にある。これがよくわからないのは、
販売者が紀伊観光物産になっていること。紀伊観光物産?白浜の恋人と同じところだ。同じ会社で微妙にアレンジしたものを2つ並行して売ってる。パンダのほうがあるのに、あえて白浜の恋人も出してるのは謎。
薄いアーモンドとチョコで表面がコーティングされている。
ほかのものにもせめてこのぐらいアレンジがほしい…。
天橋立の恋人たち
ロゴのリボンや、中央に写真を使うところなど、若干本家のデザインのインスパイア系か。ここで驚きなのは、恋人「たち」と複数形になっているところだ。われわれはまだ見ぬ美しい恋人に出会うため全国を旅していたと思っていたが、こうしてカップルで目の前に現れるとちょっと面食らってしまう。股からのぞいているのが彼氏、棒立ちなのが彼女か。ほかの恋人がビニールでコーティングしているのにくらべ、彼らは紙包装なのも新鮮だ。右下には小さく
なんて書かれている。エクスキューズする必要があるのかわからない。お菓子そのものの写真ではないし、天橋立の形をしたお菓子ではないですよ、ということか?
京都の恋人は長登屋だったが、これは有限会社 鹿野物産というところ。全体的に長登屋系からは遠いが、この販売者シールは長登屋系と共通なフォーマット。紙包装をはがすと
なんにも印刷されてないのっぺらぼう。なかを見ると
ちゃんと例の2人がスタンバっている。
ラングドシャクッキーにチョコがはみ出ている。白い恋人はチョコが溶けずに形を保ちながらはみ出していたが、これは漏れ出ている感じ。
味、大きさともに長登屋系ではあるのだが…。
長登屋系でありながらそうでないところが気になって、箱を裏返したところに書いてある連絡先を見てみた。ついでに奈良と京都も。
天橋立はほかの2つと連絡先が違っていた。ただ、販売者が長登屋ではない奈良も京都と電話番号が同じだったな。ほかの地域も後で見てみよう。
浜辺の恋人
浜辺の恋人は、紀州に住んでいる誰かのことではなく、浜辺に咲いているはまゆうのことであるらしい。
はまゆうは紀伊半島の南岸に自生していて、和歌山でも新宮市、太地町、すさみ町で市の花や町の花になっている。かつて紀州を走っていた列車の愛称だったり、もっと遡れば柿本人麻呂が万葉集で「み熊野の 浦の浜木綿 百重なす 心は思へど直に逢はぬかも」とか詠んでたりと、紀州となじみが深い花だ。
販売者はきたの。和歌山の会社。地元のための地元の企業といった感じ。紙の包装をはがすと
真っ白の箱が現れる。ただ真っ白なだけじゃなくて、
60という数字があるのが謎。
箱の中身は全体がパックに包まれている。
中身はラングドシャクッキーではなく、まさかのウエハース。
気取りは無用な、おばあちゃんが常備しているおやつのような味わいだ。