全国の恋人たち(11) 九州にいる恋人たち
福岡の恋人
「福岡」と「博多」をどのように両立させていくかについて福岡市民はずっと頭を悩ませていると思うのだが、ここでもまず福岡の恋人にするのか、博多の恋人にするのか延々と会議室で時間が費やされた(はずだ)。そこで福岡の恋人に決まったときに、では博多の立場はどうなるのか?と叫んだ人間が会議室にいた(はず)。
そうした折衷案がこう結実する。博多の屋台のイメージがちょうちんに託されているんですよ!とドヤ顔まで目に浮かぶようだ。確かに折衷案としては最適解だと思われる。
だが販売者は太宰府市の会社。
このフリーダイヤルは長登屋系の恋人で使われる定番の番号。
特に大きなアピールはないけど、チョコはストロベリー味。福岡といえばあまおうか。あかい、まるい、おおきい、うまいの頭文字から名付けられた品種で、いいことづくしのように聞こえるが、見た目はほかのイチゴより大きすぎるところがなんとなく怖い。甘くておいしいのは確かなのだが…。
あまおうは福岡だけでしか栽培していない、というのを売りにしているらしく、前にイチゴ農園の人から聞いた話では、なんでも「あまおうGメン」という人たちがいて、他地域であまおうを栽培して売ってないかどうかチェックしているのだとか。
黄実の恋人
黄色い恋人ではなく、黄実の恋人。ユア・ラバーに引っかけている。これは長崎にいた恋人だ。
ラングドシャクッキーじゃないのはわかるが、平戸夏香?ピールだから写真の果物のピールなのはわかるけど、
この絵の女の子が平戸夏香って名前のキャラなのか?
と思ってたら裏面に説明があった。拡大するとこれ。
地元の高校生からの公募で命名されたオレンジのようだ。「命名されたました」になってるな…。イラストの娘は平戸夏香なのではなくて、このお菓子を買ってくれるあなたの恋人ということなのだ。
販売者は善果園果実加工所 近藤重雄になっている。平戸夏香は、この果樹園のオリジナルの品種のよう。
箱の中の小分けの包装も、ちゃんとひとつずつイラストやロゴが入っている。ところで、パッケージにも小分けの袋にも「ピンクリボン運動を応援しています」と書いてある。小分けの袋のほうには
イラストは平戸ピンクリボン創設者の大山和栄さん直筆です。
と書かれている。大山和栄は漫画家で、
1973年に週刊少女コミックでデビューして活躍した人。本人のホームページによると、2002年(平成14年)に乳がんの告知を受けて摘出手術をし、それをきっかけに乳がんの啓蒙活動であるピンクリボン運動を始めたよう。乳がんをテーマにした漫画もある。ウィキペディアを見ると、
2009年10月頃より癌が再発した事実を自らのブログに公表し闘病の記録を綴っていたが、2010年4月初旬自身のブログにて体調が急変したことを伝える記事を執筆していたのが最後の記事となっていた。その後同月に亡くなっていたことが判明し、同年6月に故郷である平戸市にてお別れの会が執り行われた
と書いてあった。
中はオレンジピールを砂糖漬けにしたもの。甘さよりも酸味が印象的。
熊本の恋人
王道長登屋系だが、入手できたのは大きいサイズだった。いつものは12個入りで、これは21個入り。くまモンを登場させながらも、意外とひかえめな使い方だ。そもそもくまモンの恋人でもいいような気がするが、それだと単なる雌熊か。
裏の番号はいつもと同様。
販売者はこの会社。観光みやげの卸売業者だった。
味はいつもの長登屋系で、いつも12個入りでも多すぎるのに、21個あると思うとつらい気持ちになる。
宮崎の恋人
これまでの長登屋系だと、アイラブ〜〜〜(地名)とか「とても好きです」の各方言バージョン(ばり好いとうと、いさぎい好いとるばい、めっちゃ好きやねん)が冠されていたが、これは「ロマンスイーツ」。これから恋人になるかもしれない人と旅先で出会う、というようなロマンティックな要素を入れ込もうと腐心した結果だ。
左下はなぜかモアイ。宮崎県の日南海岸にはモアイがあるのだ。
イースター島のモアイの修復に協力した日本企業が、そのお礼にモアイの複製許可を得て作成したもので、7体並んでいる。以前見に行ったときは
モアイ前の広場でハワイアンダンスを踊る集団のおばちゃんがいたのが印象深かった。
恋人のパッケージに戻ると、右下の絵は高千穂峡。というかよくみると囲み模様のところにニワトリがいる。改めて左下を見るとマンゴーもあった。四隅にちゃんと配置していて面白い。とりあえず入れられるものは入れたという達成感は伝わってくる。
これは鹿児島にある営業所が販売しているということか?宮崎の恋人なのに…。
裏も長登屋系王道。
挟まっているチョコがちょっと多いように感じるが、これだけそう見えただけだった。ほかは特に変わらず。
白から始まり、黒があって黄色があって次は赤。ただ、ラングドシャクッキーではない。というかお菓子ではない。
裏面にはちゃんと「赤い恋人は(株)秋山食品の登録商標です」とアピール。登録商標あるから私たちは堂々とやってますということだろうか。吉本興業は面白い恋人の登録商標の申請を却下された。長登屋も各地の恋人たちの登録商標を申請している。
3本入り。魚肉ソーセージのように見えなくもない。
にゅるっと出してみた。出しづらい。嚙んで引っ張り出したから、歯形がついている。
パッケージの裏面には食べ方レシピあり。
とりあえず刺身風にしてみた。両面を焼いてマヨネーズというのも気になる。サラダ感覚はちょっとピンとこない。
味はもっとピリッとしていてもいいように思うが、つまみとしてはバクバク食べてしまうな。
全国の恋人たち(10) 白い他人たち
厳密にいうと恋人系のお菓子ではない。長登屋の影も薄かったりして(本家の影も)、白いけどすでに恋人ではなくて赤の他人状態のものなんだけど、一応紹介しておく。
白い大阪
面白い恋人登場後、関西に現れた恋人ブームから生まれたとおぼしき一品。大阪には雪が降らないから「白い大阪」になっている状況がよくわからなかったりする。
ロール型になっているので、もはやパクリとは別次元ではある。
白いお台場
東京にて。こちらもお台場が白くなるイメージがない…。こちらはホワイトチョコをラングドシャクッキーで挟む、本家とまったく同じ作り。
レインボーブリッジは白いっちゃ白いのか。
本家より小ぶりなのは長登屋系といっしょ。
環境にやさしいアピールがあったり。
これに出会った後、しばらくして新たな出会いがあった。
黒いお台場
もはや白くもなくましてや恋人でもないのでここで紹介するのは筋違いなのだが、あえて紹介したい。お台場の黒い要素って何だろう???違和感ばかりが募る。
裏のフリーダイヤルとか販売者とか、白いほうは写真撮るのを忘れてしまった。黒いお台場のほうは、長登屋系恋人の流れをくんでいるような気がする。販売者シールのデザインは同じで、フリーダイヤルは長登屋系の他の恋人と同じ番号。どうも恋人系に限らず、日本全国のお菓子の問い合わせ先になっているようだ。
こう見ると変わらないが、
ちゃんと黒い。白よりもビターだとは思うのだけれど、そもそものチョコレート感というかカカオ感は少ないように思える。
水性インキ使用も変わらず。
ついでにこのスイセイ君も調べてみた。
https://marufukukk.com/sustainable/
「水性フレキソ印刷の証明として使用するロゴマーク」だそうで、フレキソ?とかキャラじゃなくてロゴマークなのか?とかいろいろ考えてしまうが、
公式(?)よりもこのブログのほうがくわしく書いてあるな。
白い針葉樹
長野県に存在していた。
モンドセレクション金賞受賞してる。モンドセレクションといえばブルボンのお菓子のイメージがあるなー。
これはゴールドアワード(金賞)だけど、その上に最高金賞があるのか。
え、そうだったの!?モンドセレクションの衝撃真実 - NAVER まとめ
長登屋ではなく、マツザワという地元企業が販売しているのだが、基本に忠実なラングドシャクッキー。味はどうかというと、これは本家に匹敵するぐらいうまい。
白い恋人のように、クッキーからチョコがはみ出ていることはないのだが、チョコが厚い。本家より厚い。量があるので、ホワイトチョコの存在感が(本家より)しっかりしている。
白塗りの濃い人
中途半端なことをするぐらいならこのぐらいやれよ!と頭の下がる思いがする一品。京都にいた「濃い」人だけに、一応白ぬり→舞妓とだじゃれが徹底している。パッケージの英文をよく読むと
英語じゃなくてローマ字のメッセージが入っていた。
Otozureta Kyoto no maiko-han wa kao ga masshiro
Shiro-nuri no beppin-han
Sonna maiko-han ni koi wo shimashita
ちなみに、長登屋系は英語になっていて
It is fit sweets in memories of travel. Everyone must eat sweets.
It is very pleased. It is a present from XXXXX.
とかになっている。XXXXは地名。白ぬりの濃い人のほうには、ちゃんとやりきってる感がある。蛇足ではあるが、本家はどうなっているかというと
ローマ字でも英語でもなくフランス語になっている。これはたぶん白い恋人の名前の由来に関係がある。一応、石屋製菓の見解では「『白い恋人が降ってきたよ』という創業者の何気ない一言から来ている」ようなのだが、その一言を発した創業者の頭の中には、1968年にフランス・グルノーブルで行われた冬期オリンピックのドキュメンタリー映画「白い恋人たち」のことがあったはずだからだ。
ラングドシャもフランス語か。白ぬりの濃い人に話を戻すと、これは中身も一線を画している。
中はラングドシャクッキーでもゴーフレットでもない。箱にはプチケーキとあるが、蒸しパンみたいな感じ。しかもポエム付きだ。
先斗町を抜けて鴨川を歩くと
キラキラ光る川面の向こう側には
凛とした古都の美しい町並みが見える。どこからか聞こえてくる三味の音
すると、白ぬりの濃い人が突然現れた。
「おきばりやす」
火打石の音と共に、中からそんな声がした。なにげなく二階の窓に目をやると
羨ましそうに見とれている少女が一人
一瞬、京の時が止まって見えた。
白い森樹
もはや何と読むのかはっきりしない。やはり、しんじゅと読んで真珠とかけてるのだろうか。これは沖縄を旅したとき、那覇の国際通りにあるドンキホーテにあったもの。外国人観光客のためか、日本全国のお菓子が売っている一角があり、そこに置いてあった。日本全国のお菓子といっても、例えば萩の月だとかもみじまんじゅう、赤福とかそういったものはどこにもない。あまりなじみのないものばかりが並んでおり、知っているのは東京の恋人とか福岡の恋人とか島根の恋人ぐらい…
そんななかにこれがあった。北海道はもう何度も行っているが、これは初めて見た。沖縄で売っていたからだろうか?ホワイトチョコクランチとかWHITE CHOCOLATE CRUNCHと書いてあるリボンの部分などの処理が堂々としてるというか、白塗りの濃い人とはまた違ったすがすがしさを感じる。石屋製菓の目の届かないところで羽を伸ばしているような。
札幌市内では見かけたことがないが、販売者は札幌の会社だ。札幌旬彩堂というところで、ググると土産物の卸や小売り、製造を行っている長野の会社タカチホの子会社であるようだ。ただ、この販売者シールは長登屋系に酷似している。
裏面。フリーダイヤルの番号は上の黒いお台場と同じだ(ほかのスタンダード長登屋系とも同じ)。長登屋系であるのかそうでないのか、このフリーダイヤルの番号が目安になるかもしれない。この番号でないものは、長登屋系でないオリジナルなもののようだ。
レギュラー長登屋系とは異なり箱には直接プリントされておらず、プリントされた包装紙が箱を包んでいる。紙をはがすと、何も描かれていない真っ白な箱が現れる。
個々の包装は表のパッケージを踏襲。簡易な単色の個包装でないところはいい。
チョコクランチだから長方形なのかと思ったらドーム型だった。かわいい感じでいいな。味は…チョコがシャリシャリしてるな。