全国の恋人たち(10) 白い他人たち
厳密にいうと恋人系のお菓子ではない。長登屋の影も薄かったりして(本家の影も)、白いけどすでに恋人ではなくて赤の他人状態のものなんだけど、一応紹介しておく。
白い大阪
面白い恋人登場後、関西に現れた恋人ブームから生まれたとおぼしき一品。大阪には雪が降らないから「白い大阪」になっている状況がよくわからなかったりする。
ロール型になっているので、もはやパクリとは別次元ではある。
白いお台場
東京にて。こちらもお台場が白くなるイメージがない…。こちらはホワイトチョコをラングドシャクッキーで挟む、本家とまったく同じ作り。
レインボーブリッジは白いっちゃ白いのか。
本家より小ぶりなのは長登屋系といっしょ。
環境にやさしいアピールがあったり。
これに出会った後、しばらくして新たな出会いがあった。
黒いお台場
もはや白くもなくましてや恋人でもないのでここで紹介するのは筋違いなのだが、あえて紹介したい。お台場の黒い要素って何だろう???違和感ばかりが募る。
裏のフリーダイヤルとか販売者とか、白いほうは写真撮るのを忘れてしまった。黒いお台場のほうは、長登屋系恋人の流れをくんでいるような気がする。販売者シールのデザインは同じで、フリーダイヤルは長登屋系の他の恋人と同じ番号。どうも恋人系に限らず、日本全国のお菓子の問い合わせ先になっているようだ。
こう見ると変わらないが、
ちゃんと黒い。白よりもビターだとは思うのだけれど、そもそものチョコレート感というかカカオ感は少ないように思える。
水性インキ使用も変わらず。
ついでにこのスイセイ君も調べてみた。
https://marufukukk.com/sustainable/
「水性フレキソ印刷の証明として使用するロゴマーク」だそうで、フレキソ?とかキャラじゃなくてロゴマークなのか?とかいろいろ考えてしまうが、
公式(?)よりもこのブログのほうがくわしく書いてあるな。
白い針葉樹
長野県に存在していた。
モンドセレクション金賞受賞してる。モンドセレクションといえばブルボンのお菓子のイメージがあるなー。
これはゴールドアワード(金賞)だけど、その上に最高金賞があるのか。
え、そうだったの!?モンドセレクションの衝撃真実 - NAVER まとめ
長登屋ではなく、マツザワという地元企業が販売しているのだが、基本に忠実なラングドシャクッキー。味はどうかというと、これは本家に匹敵するぐらいうまい。
白い恋人のように、クッキーからチョコがはみ出ていることはないのだが、チョコが厚い。本家より厚い。量があるので、ホワイトチョコの存在感が(本家より)しっかりしている。
白塗りの濃い人
中途半端なことをするぐらいならこのぐらいやれよ!と頭の下がる思いがする一品。京都にいた「濃い」人だけに、一応白ぬり→舞妓とだじゃれが徹底している。パッケージの英文をよく読むと
英語じゃなくてローマ字のメッセージが入っていた。
Otozureta Kyoto no maiko-han wa kao ga masshiro
Shiro-nuri no beppin-han
Sonna maiko-han ni koi wo shimashita
ちなみに、長登屋系は英語になっていて
It is fit sweets in memories of travel. Everyone must eat sweets.
It is very pleased. It is a present from XXXXX.
とかになっている。XXXXは地名。白ぬりの濃い人のほうには、ちゃんとやりきってる感がある。蛇足ではあるが、本家はどうなっているかというと
ローマ字でも英語でもなくフランス語になっている。これはたぶん白い恋人の名前の由来に関係がある。一応、石屋製菓の見解では「『白い恋人が降ってきたよ』という創業者の何気ない一言から来ている」ようなのだが、その一言を発した創業者の頭の中には、1968年にフランス・グルノーブルで行われた冬期オリンピックのドキュメンタリー映画「白い恋人たち」のことがあったはずだからだ。
ラングドシャもフランス語か。白ぬりの濃い人に話を戻すと、これは中身も一線を画している。
中はラングドシャクッキーでもゴーフレットでもない。箱にはプチケーキとあるが、蒸しパンみたいな感じ。しかもポエム付きだ。
先斗町を抜けて鴨川を歩くと
キラキラ光る川面の向こう側には
凛とした古都の美しい町並みが見える。どこからか聞こえてくる三味の音
すると、白ぬりの濃い人が突然現れた。
「おきばりやす」
火打石の音と共に、中からそんな声がした。なにげなく二階の窓に目をやると
羨ましそうに見とれている少女が一人
一瞬、京の時が止まって見えた。
白い森樹
もはや何と読むのかはっきりしない。やはり、しんじゅと読んで真珠とかけてるのだろうか。これは沖縄を旅したとき、那覇の国際通りにあるドンキホーテにあったもの。外国人観光客のためか、日本全国のお菓子が売っている一角があり、そこに置いてあった。日本全国のお菓子といっても、例えば萩の月だとかもみじまんじゅう、赤福とかそういったものはどこにもない。あまりなじみのないものばかりが並んでおり、知っているのは東京の恋人とか福岡の恋人とか島根の恋人ぐらい…
そんななかにこれがあった。北海道はもう何度も行っているが、これは初めて見た。沖縄で売っていたからだろうか?ホワイトチョコクランチとかWHITE CHOCOLATE CRUNCHと書いてあるリボンの部分などの処理が堂々としてるというか、白塗りの濃い人とはまた違ったすがすがしさを感じる。石屋製菓の目の届かないところで羽を伸ばしているような。
札幌市内では見かけたことがないが、販売者は札幌の会社だ。札幌旬彩堂というところで、ググると土産物の卸や小売り、製造を行っている長野の会社タカチホの子会社であるようだ。ただ、この販売者シールは長登屋系に酷似している。
裏面。フリーダイヤルの番号は上の黒いお台場と同じだ(ほかのスタンダード長登屋系とも同じ)。長登屋系であるのかそうでないのか、このフリーダイヤルの番号が目安になるかもしれない。この番号でないものは、長登屋系でないオリジナルなもののようだ。
レギュラー長登屋系とは異なり箱には直接プリントされておらず、プリントされた包装紙が箱を包んでいる。紙をはがすと、何も描かれていない真っ白な箱が現れる。
個々の包装は表のパッケージを踏襲。簡易な単色の個包装でないところはいい。
チョコクランチだから長方形なのかと思ったらドーム型だった。かわいい感じでいいな。味は…チョコがシャリシャリしてるな。
全国の恋人たち(9) 沖縄にいる恋人たち
沖縄の恋人
デザインは長登屋系だが、通常の透明フィルムに包まれておらず、紙で包まれている。形も他の恋人とは異なり、正方形のものが標準形のようで、沖縄ではよく見かけた。これより大きなサイズもあるのだが、横長ではなく縦長になっていた。
このような感じ。他の地方では見かけない恋人で、長登屋フォーマットでありながら内地とは一線を画している。
キャッチコピーはアイラブ【地名】系ではなく、方言でアイラブユー系。方言が標準語と大きく違ってるかどうかが地名と方言の選択基準だと思うが、方言系のほうが担当者のやる気を感じてしまう。
イラストはシーサー、ハイビスカス、首里城で、ここは冒険せず、無難にまとめている。
販売者は長登屋ではなく、有限会社りゅうほうというところ。
紙の包装を剥がすと、謎のレンガ柄がプリントされている。グスクの石垣のイメージなのだろうか?
個包装はアレンジなしの長登屋フォーマット。数は10個入っている。ちなみに通常長登屋サイズだと12個入りだ。
味は長登屋系から変化なし。王道の味。
琉球の恋人
地のフォーマットをそのまま持ってきただけなのが沖縄の恋人だとすると、それに異を唱えるウチナーンチュの魂の形が琉球の恋人なのかもしれない。
そしてここでは、あくまでも遠くにありて思うものだった恋人がより具体的な姿を伴って現れている。シルエットではあるが、カップルがどこかのビーチを眺めているのだ。以前取り上げたなかでは、天橋立の恋人がこれに近いアプローチを取っていた(あくまでもイラストにとどまっていたが)。それは、旅先でわれわれが運命の出会いを果たし恋人になる存在ではなく、単にわれわれが旅先で見かけたいちゃいちゃしているカップルなのだ。そこにはロマンティックな要素はなく、日常と地続きの風景があるだけだ。全国で観光への幻想を振りまいている長登屋への、地元・沖縄からの冷めた解答がここにある。お前たちが求めている存在はこんなところにはないんだよ、という。
沖縄の恋人と同様、透明ビニールではなく紙での包装。側面にも力強い主張を感じる。
販売者は南都物産。かつてはハブ対マングースのショーとかやってたおきなわワールドを経営している南都の子会社のようだ。
紙の包装を剥がすと、すべて真っ白の箱が出てくる。
ラングドシャクッキーではなく、チョコインクッキー。外箱をくるむ包装紙にも「〜チョコインクッキー〜」とあったが、ここでさらにダメ押しして、個包装にもチョコインクッキーと書かれている。だが、琉球の恋人とはどこにも書かれていないのがちょっと面白い。
なかに入っているチョコはカチカチじゃなくてトロッと柔らかかったのが意外だった。これはおいしいな。クッキーも適度にしっとりしてて、ヘーゼルナッツペーストの風味がいいアクセントになっている。